写真家として活動を始め1954年に映画監督としてデビューして以来、映画史に残る数々の作品を生み出してきたアニエス・ヴァルダ。本作は、81歳を迎えた彼女が自らの人生を辿るシネマ・エッセイである。 アニエス・ヴァルダは、カメラを携えて自らの人生を辿る旅に出かけた。彼女の人生にはいつも浜辺があった。子供時代を過ごしたベルギーの浜辺、戦火を逃れて疎開した南フランスの港町セート、夫・ジャック・ドゥミと渡ったアメリカ西海岸。自身の人生、亡き夫、そして家族の思い出を軸に、ジェーン・バーキンやカトリーヌ・ドヌーヴといった俳優陣や、アラン・レネ、ジャン＝リュック・ゴダールなどの盟友たちとのエピソードに思いを馳せる。過去の作品の断片や友人たちのインタビュー、彼女の心象風景を交えながら描き出されたのは、彼女自身の歴史であると同時に、第二次世界大戦、戦後、ヌーヴェル・ヴァーグ、ベトナム戦争、ヒッピー・カルチャーなど彼女自身が生きた時代の歴史でもある。