世界の15人の巨匠たちによる10分の短編映画集「10ミニッツ・オールダー」の一編。「10ミニッツ・オールダー」は、7人の監督が結婚・誕生・進化・孤独・死・運・郷愁といった、誰の人生にも訪れる出来事を描いた＜THE TRUMPET（劇場公開題：人生のメビウス）＞と、8人の監督が時間の謎に挑む＜THE CELLO（劇場公開題：イデアの森）＞の二部に別れている。 舞台はスペインの田舎。静かで緊密なモノクロームの画面の中に、暑い夏の牧歌的雰囲気が漂う。監督のビクトル・エリセが生まれた年と同じ1941年。ある家に住む家族の日常生活の合間に起きた、赤ん坊をめぐる出来事を描く。静けさの中にも、第二次世界大戦突入の混沌とした不穏な空気が見え隠れする。エリセが自ら自叙伝的な作品と語る記念碑的作品。

作品キーワード：血