イギリス・サフォーク州の海辺に、シシー・コルピッツという同姓同名の祖母、娘、孫の3人の女性が暮らしていた。祖母のシシーは、夫が若い娘と浮気しているのを目撃し、酔った夫の頭を風呂の湯に沈めて殺してしまう。続いて、その娘は海で夫を溺死させ、孫はプールで夫を溺死させる。彼女たちはその3つの殺人を事故に見せかけるようと、友人の検死官・マジェットに強要する。しかし彼には、動物の死骸にペンキを塗ったり、死人が出ると花火を打ち上げたりと、死にまつわるゲームに熱狂する息子がいて…。 原題“Drowning by Numbers”の直訳は「次々と溺死させる」。映画の中には1から100までの数字が画面のどこかに登場する。3人の女性が繰り広げる死のゲームとともに、数字遊びが散りばめられ、ブラック・ユーモアとデカダンスの入り混じる不思議な世界が展開する。ベラスケスの「ラス・メニーナス」の女官にそっくりな格好をした少女が数え歌を歌いながら縄跳びをするなど、西洋絵画をモチーフにした場面も随所に見られ、グリーナウェイらしい美的感覚と遊び心が満喫できる作品である。 カンヌ国際映画祭芸術貢献賞受賞。

作品キーワード：水死，羊，昆虫，葬式，ランナー，割礼，綱引き，首吊り自殺，ボート，儀式