シドニーに住む14歳の姉と6歳の弟が、ある日、父親に連れられ砂漠地帯を訪れた。弟はおもちゃのピストルを持って無邪気に遊びまわり、姉はピクニックの準備を始める。ところが突然、父親が子供たちに向けて銃を発砲。姉弟はかろうじて銃弾を免れるが、父親は乗ってきた自動車に火を放ち、ピストル自殺してしまう。取り残された二人はあてもなく広大な砂漠を彷徨いつづける。ようやくオアシスにたどり着いた姉弟は飢えと渇きから解放されるが、それも束の間、眠りから覚めた時、オアシスの水は跡形もなく消えていた。途方にくれる二人の前に、部族の風習に従い一人で旅を続けるアボリジニの少年が現れる。お互いに言葉も通じないまま、姉弟はアボリジニの少年に命を託し、旅を続けるのだった…。 原作はオーストラリアで親しまれているジェームス・ヴァンス・マーシャルの小説「Walkabout」。原題は、約一年間オーストラリアの奥地を一人で旅するというアボリジニの成人になるための通過儀礼を意味し、それと共に白人姉弟の過酷な放浪をも示している。トリュフォーの『華氏451』の撮影監督としても有名なニコラス・ローグが監督と撮影を兼任し、4ヶ月かけて撮影を敢行。オーストラリアの原野の美しく厳しい大自然、動植物の驚異的な生態を切り取りながら、ローグらしい強烈なカッティングで自然と文明との象徴的な対比を行っている。全裸で水浴するジェニー・アガターの美しさや、叙情的なジョン・バリーのスコアも忘れ難い魅力を放つ。