ファスビンダー監督の長編デビュー作。 フランツはギャング組織への加入を強要されるが、自立するためにそれを拒否し続けていた。そこでブルーノという寡黙な男と出会ったフランツは、彼と友情めいた絆で結ばれるようになる。やがてフランツはギャング組織から解放され、恋人のヨアンナの元に戻った。一方ブルーノはフランツの行方を探してミュンヘンの街を訪ね歩き、トルコ人ポン引きを殺したという濡れ衣で被害者の兄弟の報復を恐れていたフランツを探し当てた。ブルーノは復讐者を先に殺すことを提案し、実行した。さらに、フランツ、ブルーノ、ヨアンナの3人で散歩中にブルーノが警察官を射殺してしまう。フランツは逮捕され、その間にブルーノとヨアンナの間に関係ができた。やがて釈放されたフランツはブルーノと二人で銀行強盗を計画するが、実はブルーノの背後には例のギャング組織があり、フランツに犯行を重ねさせて組織に取り込もうとしていたのである…。 1950年代末にフランスで起こったヌーヴェル・ヴァーグの10年後にその余波を受けてドイツで起こったニューシネマ、いわゆる「若いドイツ映画（ニュー・ジャーマン・シネマ）」を代表する存在でもあるジャン＝マリー・ストローブは、映画および演劇活動においてファスビンダー監督と関わっている。ストローブは、ファスビンダー監督が率いていた劇団「アンチテアター」のメンバーとともに舞台作品を演出し、それは後に彼の映画「花婿、女優そしてヒモ」に取り入れられた。本作は、その翌年に撮影された作品である。ストローブは本作にも野外撮影の協力で参加している。

作品キーワード：長回し