「実験工房」や「ビデオ広場」で活動したアーティストの山口良臣が、撮影している映像をモニタを通してリアルタイムで見ることができるという（フィルムにはない）ビデオ独自の特性に着目して制作した作品である。まず山口は、テレビの画面が反射して映り込んだ床にビデオカメラを向け、その様子をモニタに映し出す。そして彼はそのモニタの映像だけを見ながら、床にピンを刺していく。山口はこの作品について、「モニターに映し出された自身の行為を、自身にフィードバックさせながら行為を続ける」ことによって可能になる「新しい体験」を求めたのだと述べている（展覧会カタログ『初期ビデオアート再考』、2006年、p.46）。

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