キシュ島を舞台に、イランの3人の監督が描いた3つの物語の1篇。 見渡す限りの白い砂漠をドアを背負った男が歩いて行く。郵便配達員がやってきてそのドアをノックすると、男はドアを下ろし扉を開いた。男は「息子からの手紙か」と尋ねるが、彼の元に届いた手紙には彼の娘に恋をした若者からのプロポーズがしたためられていた。男はその手紙を破り捨て、再びドアをかついで歩き出した。男の後ろを、黒い仔ヤギを連れた娘がついて行く。無言で歩き続ける二人の元に、今度は鐘や太鼓を鳴らしながら楽団が訪ねてくる。楽団の一人が「結婚式か葬式をやっているところを知らないか」と尋ねるが、男が「誰が死んで誰が生きているかなんて知らない」と答えると去って行った。二人は再び歩き始め、やがて海岸に行き着く。そこへ男の息子からの手紙を届けに郵便配達員がやってくる。