シネマ・ヴェリテを代表する作家ジャン・ルーシュが、ギニア湾に位置するガーナの海岸で制作した作品。そこはかつてポルトガル人が奴隷貿易の拠点とした場所で、現在でもその記憶が刻まれたエルミナ城が残っている。ルーシュがこの土地で記録するのは、サーフィンをする少年たちや熟練した漁師たちである。漁師は海に出て、1、2日は海上で過ごすこともできるという。彼らの生活が豊かなものであるかどうかは、海の魂（マザー・ウォーター）次第であり、不漁の際はその魂を讃える儀式を行わなければならない。映画は後半、そうした儀式のひとつを映し出す。そこでは、数多くの人びとが行列をつくって海岸を練り歩き、生贄の山羊を海へと捧げる様子が捉えられている。

作品キーワード：シネマ・ヴェリテ，映像人類学