20世紀初頭の南フランス・プロヴァンス。両親と弟、まだ幼い妹と共に幸福に暮らす少年マルセルは、9歳の夏休みに一家で過ごした別荘での思い出が忘れられなかった。冬が来て、クリスマスに一家は再び別荘へ行き、翌年の春にも別荘を訪れる。やがて一家は毎週別荘へ通うことを決意するが、そのためには大荷物を抱えて片道四時間の道のりを行かなければならない。しかしある時、小学校教師である父ジョセフが、かつての教え子ブジーグから道の途中の城の鍵を譲り受けた。その鍵を使って城の中を通れば、片道2時間で別荘に行くことができるのだ。家族はびくびくしながらも、その鍵を使って城の庭を通って行こうとするのだが……。 イヴ・ロベール監督が、作家マルセル・パニョルによる回想録『少年時代の思い出』をもとにして制作した『プロヴァンス物語　マルセルの夏』（1990年）の続編。マルセルの父への尊敬を描いた『マルセルの夏』に対して、こちらでは母の優しさが中心に描かれている。