身の回りのものを集めて箱の内部を構成するアッサンブラージュ作品で知られるアーティストのジョセフ・コーネルによる実験映画作品。既存の映像を素材とするファウンド・フッテージの手法が用いられており、製鉄の様子や昆虫を記録した教育フィルムが、コーネルの手によって赤や青、セピアなどモノトーンで着色され、さらにネガポジ反転や映像の天地を逆にするといった操作が加えられている。 なおコーネルは、自らの映画作品を滅多に公開しなかった。それは、おそらくアメリカで初めてのファウンド・フッテージ作品『ローズ・ホバート』（1936年）の初上映時のトラウマが残っているからだと言われている。作品を観たサルバドール・ダリが、妬ましさのあまり自分も同じアイデアを持っていたと主張して映写機を蹴り飛ばし、そこで上映が中断してしまったというのだ。それでもコーネルはその後も密かに映画制作を続け、本作『By Night with Torch and Spear』やスタン・ブラッケージの協力による『天使』（1957年）など優れた作品を残している。