さらば愛しき大地

Farewell to the Land ／ Saraba itoshiki daichi

ジャンル Genre

日本映画/Japanese Film

製作国 Country

日本/Japan

公開年 Release Date

1982

作品分数 Runtime

135 MIN

カラー Color

Color

オリジナル音声 Language

日本語/Japanese

概要 Additional Information

舞台は茨城県の鹿島地方。広大な田園地帯だったその土地も、開発によって大きな変貌を遂げつつあった。農家に生まれた山沢幸雄は、家業を継がずに現在はダンプの運送をして働いている。あるとき、彼の愛する二人の息子が沼地で溺死してしまった。もともと覚せい剤に手を出していた幸雄は、その死をきっかけにますます薬に溺れていき……。鹿島臨海工業地帯の開発を背景として、郷土の荒廃と人間の堕落を描いた作品である。後に「日本全土の東京化」や「郊外化」といった言葉で語られることになる、60年代末から70年代にかけての日本で起こった急速な風景の変貌は、当時の映画制作者たちにとっても大きなテーマのひとつだった。本作にも、風景映画『略称・連続射殺魔』とそれを巡って繰り広げられた松田政男や足立正生らによる一連の風景論争、都市的風景と農村的風景の混在を捉えようとした『遠雷』（1980年）などに連なる問題意識を見て取ることができる。自身が鹿島市に隣接する潮来市（当時の地名は行方郡牛堀町）に生まれた柳町光男監督は、場所のあり方が変わりゆく以前でも以後でもなく、「途上」の風景をこの映画に刻み付けている。

スタッフ Staff