1920年代の終わり頃、第一次世界大戦敗戦後のドイツ。ベルリンは、ヨーロッパ有数の都市（メトロポール）としてその文化を花開かせた一方で、失業者の増加、犯罪の横行などで社会は混迷を極め、人びとは不安に煽られ、ナチスと共産主義者との対立は過激化していた。そんなベルリンに、かつて恋人イーダを殺害した罪でテーゲル刑務所に服役していた男フランツ・ビーバーコップが出所してくる。彼はなじみの酒場で出会ったポーランド人のリナと恋仲になり、過去を捨ててまっとうに生きることを決意するのだが……。 1929年に刊行されたアルフレート・デーブリーンによる長編小説を、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督が映像化した全14話のテレビ映画。その過激な描写や画面の暗さ、さらにファスビンダー自身のタブーに触れる言動なども手伝って、ドイツ国内では凄まじい誹謗中傷に晒されたが、同年に行われたヴェネチア映画祭ではスーザン・ソンタグをはじめとする多くの批評家から賞賛された。 第1話　処罰が始まる 第2話　死にたくなければどう生きるか 第3話　脳天の一撃は心をも傷つける 第4話　静寂の奥底にいる一握りの人間たち 第5話　神様の力を持った刈り手 第6話　愛、それはいつも高くつく 第7話　覚えておけ‐誓いは切断可能 第8話　太陽は肌を暖めるが時に火傷を負わす 第9話　多数派と少数派の間の永遠の隔たり 第10話　孤独は壁にも狂気の裂け目を入れる 第11話　知は力　早起きは三文の得 第12話　蛇の心の中にいる蛇 第13話　外側と内側、そして秘密に対する不安の秘密 第14話 【エピローグ】ライナー・ヴェルナー・ファスビンター：フランツ・ビーバーコップの夢についての私の夢