第二次世界大戦が終結し、ワルシャワ蜂起に参加していた元・国内軍兵士のボジェクが戦災被害を免れた街ジェルノにやって来た。彼は共産主義者の処刑を拒否したことが軍規違反とされ、戦友たちに追われる身である。無数の難民たちが乗る列車から降りた彼は、そこで戦災孤児の姉妹ルチアとアルカに出会った。やがて住居を見つけ、樽の積み降ろしの仕事を得たボジェクは、ルチナと再会して互いに惹かれ合うのだが……。 ポーランドの映画監督カジミェシュ・クッツの二作目となる長編。フレーム内フレームを効果的に利用した画面設計や、繊細な音響設計など、実験的表現に満ちたクッツの初期の傑作であるが、上映禁止処分を受けて、海外での上映は約25年に渡って禁止され、国内でもほとんど上映の機会がなかった不運な作品である。