瀬戸内海・小豆島にある小学校の分教場（分校）に、女学校出身の新任教師・大石久子が赴任してくる。彼女はふだん自転車で学校に通っていたが、ある日、生徒がいたずらで掘った落とし穴に落ちて怪我を負い、長期間学校を休まざるをえなくなる。そこで、久子を慕っていた1年生の12人の生徒たちは、二里（約7.85km）という長い道のりを歩いて彼女を見舞いに行った。予期せぬ子供たちの来訪に喜ぶ久子。しかし結局怪我のために分校に戻ることは叶わず、本校に転勤することになる。また、ちょうどその頃日本は軍国主義体制を強めつつあり、久子は軍国教育を拒否して、結婚を機に退職してしまうのだった。そしてついに戦争が始まる。久子の教え子たちは次々と戦場へと赴いて死んでいき、夫も戦死してしまった。そのような苦しい時代を耐え忍び、戦後、再び分校で教鞭を取ることになった久子は、同窓会に呼ばれ、かつて見舞いに来てくれた1年生たちとの再会を果たすのであった。 壷井栄による同名小説の映画化で、木下惠介の代表作として知られる。木下は、原作では具体的に記されていなかった物語の舞台を壺井の故郷である小豆島に定め、その土地の美しい自然を舞台に、昭和初めから終戦後に至るまでの約20年間を反戦のメッセージを込めて描き上げた。作中には「仰げば尊し」「アニー・ローリー」「故郷」「朧月夜」「荒城の月」など数多くの童謡・唱歌が流れ、郷愁を誘う。1955年度のゴールデングローブ賞・外国語映画賞を受賞。 なお『二十四の瞳』は本作以後も、テレビドラマやアニメなどで繰り返し映像化されており、1987年には二度目の映画化も行われている（朝間義隆監督）。

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