＜トゥーランドット＞は、プッチーニの第12番目のそして最後の「白鳥の歌」となったオペラである。彼は1920年の夏からその作曲にとりかかったが、第3幕の最後の部分を未完成のままこの世を去る。原作となったのは18世紀ヴェネツィアの劇作家カルロ・ゴッツィの寓話劇だが、元来はペルシアの古伝説といわれる。 本作はローマ時代の遺跡であるアレーナ（円形劇場）・ディ・ヴェローナで行われた公演の記録である。円形劇場の下方にステージをしつらえ、さらにその底に大きなオーケストラ・ボックスが設けてあり、すり鉢状の石段はそのまま背景となる。ヴェローナ円形劇場が野外オペラ劇場として甦ったのは、1913年のことで、以降オペラは毎年開催され、夏の名物イヴェントとなっている。