ウィンザー・マッケイが代表作『恐竜ガーティ』から作品の趣を大きく変え、第一次世界大戦下、ドイツの潜水艦Uボートに撃沈されたルシタニア号の悲劇をアニメーション化。1915年、リバプールを出航したイギリスの商船ルシタニア号はアイルランド沖でUボートの魚雷を受けて沈没。1200人近い死亡者のうち1割がアメリカ人であったことから、この事件はアメリカ参戦の大きな要因となった。 作品にはニュース映画のように事件の詳細を告げる字幕が数多く挿入される。それと共にマッケイの描いた精緻なペン画が、船の爆発によって立ち上る黒煙や海面の大きな揺れをリアルに再現し、事件の衝撃を新たにする。マッケイはこうしたディテールとともに、海に投げ出された母子の無垢な美しさと悲運を描いており、繊細な情感をも作品に残している。