2002年にNHKで放送された番組。 古い建築を傷ついた姿をそのままに再生する。建築家・安藤忠雄の考えるこの21世紀の建築のあり方は、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけにして生まれた。安藤は連日のように崩壊した街を歩き、火に包まれ崩れ行く建物を記憶に留めておくため、一心不乱にスケッチを描いた。そして、神戸の海岸沿いや旧居留地にある、港町神戸の長い歴史を背負った古い建築物も無残な姿をさらしているのを見た安藤は、歴史ある古い建物をなるべく壊さないで保存するよう建物の所有者を説得する為、街中を駆け回った。 上野の国際こども図書館は、明治に建てられた帝国図書館を再生して生まれた。天井の漆喰や寄木細工の床など、数々の職人技を復活させ、さらに21世紀の建築技術を加え、新たな命を吹き込んだのである。 そして、建築家という枠を越えて取り組んでいるのが、神戸の街に白い花の木を植える運動や産業廃棄物で汚れた瀬戸内海の島に緑を植えるプロジェクトである。 安藤忠雄の提唱する環境と建築の新たなあり方を探る。