オブザーバ/オブザーブド/オブザーバ(抜粋)
Observer/Observed/Observer(Excerpt)
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※「コンセプトテープ1」と「コンセプトテープ2」(VHS)に収録されているのは、それぞれバージョンの異なる「抜粋版」。 『オブザーバ/オブザーブド/オブザーバ』は、映像作家の飯村隆彦が「ビデオ記号学」として制作した三部作のうちの第三作目である(他の二作品は、『カメラ、モニター、フレーム』(1976年)と『オブザーバ/オブザーブド』(1975年))。 映画研究の分野では60年代に、クリスチャン・メッツによって「映画記号学」が提唱され、大きな影響力を持った。それは、ソシュールを始祖とする構造言語学(また、そこから派生したロラン・バルトの映像論やジャック・ラカンの鏡像理論など)を映画研究に援用する試みである。飯村は、こうした研究が主に(実験映画や非劇映画ではなく)劇映画を対象としていることに不満を持ち、また、映画(フィルム)とビデオとの間には異なる言語があるという考えのもとに、テキストによってではなくビデオ作品によってビデオを考察する「ビデオ記号学」を構想したのである。 この作品は、「I See You/Myself」「Camera 1/2-Monitor 1/2」「Camera 2-Camera 1/Monitor 1/2」という三つのセクションから成る。飯村は、前作『オブザーバ/オブザーブド』で扱ったビデオにおける「見る者(Observer)」と「見られる者(Observed)」との関係性の問題を、本作でより複雑化・高度化している。すなわち、2セットのカメラとモニターを向かい合わせて、ダブル・フィードバックの状態をつくりだすことによって、「見る者が見られる者を見る」と「見られる者が見る者を見る」という循環する構造を示しているのである(飯村隆彦『飯村隆彦 フィルム、ビデオ回顧展』、1999年、p.50)。飯村はこの構造を、例えば「I See you who is shooting me(私は私を撮影するあなたを見る)」や「I see my self who is shooting you(私はあなたを撮影する私自身を見る)」といった言葉を発する「音声」と、画面の下部に表示されるテロップ=「文字」、そして「映像」と、三つのメディアを用いて——また相互に補完し合いつつ——描き出すことを試みている。 なお、先に引用した『飯村隆彦 フィルム、ビデオ回顧展』(1999年)には、飯村自身による「ビデオ記号学」及び各作品についての詳細な解説が収録されている。
作品キーワード:ビデオ・アート
Staff
飯村 隆彦/Takahiko Iimura 監督/Director
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