トルンカの長編人形アニメーションの処女作。ブジェティスラフ・ポヤル等、当時の若手アニメーターたちがトルンカに企画を持ちかけ、制作に至った。「謝肉祭」「春」「聖プロコップ伝説」「巡礼」「聖名祝日」「ベツレヘム」という、チェコの四季と年中行事を題材にした6つのエピソードから成るオムニバス作品である。 人形アニメの第1作とは思えないほど完成度が高く、映し出されるチェコ独特の風土や伝統に、観客は感嘆するだろう。だが、その異国の地に親近感を抱かせるのは、より愛情を込めて描かれた人間たちの姿である。生の喜びに踊り、死の影に怯え、愛に苦悩する…。不動の瞳の中に人間の細やかな感情を零れんばかりにたたえたトルンカの人形たちは、どの土地にも共通する、人間の普遍的な物語を演じている。この作品が制作されたのはチェコがナチス・ドイツから解放されてから3年目。農民たちの日々の生活に注がれたトルンカの眼差しには、平和への祈りを読み取ることが出来る。

作品キーワード：パペット・アニメーション，戦争，キリスト生誕，ストップモーション