ある日、大事にしている自分の畑に砂糖大根の種を一粒まいたおじいさん。大事に育てた砂糖大根は大きく実るが、大き過ぎて畑から引き抜くことができない。妻子や犬猫、ネズミまで巻き込んだ砂糖大根の収穫が始まる…。 日本では「大きなかぶ」の題名で知られる物語をアニメ化したトルンカの処女作。後に『チェコの四季』で人形アニメーションを手掛けるようになるまでは、人形アニメーションの巨匠と呼ばれるトルンカも平面アニメーションを制作していた。アニメーションを手掛ける前からイラストや挿絵の仕事をしていたトルンカらしく、おおらかでありながら洗練された絵柄は魅力的だ。ちょっとぎくしゃくしていた家族が、砂糖大根共々空を飛んでいくラスト。そのはじけるような笑顔には、トルンカの洒落っ気が覗く。 後にトルンカ作品のほとんどの音楽を手掛けることとなるヴァーツラフ・トロヤンは、この第1作から制作に加わり、トルンカの生涯の友となった。

作品キーワード：人形アニメーション，パペット・アニメーション，ストップモーション