火まつり
Fire Festival / Himatsuri
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前は海、後ろを山に囲まれた紀州の小さな町。そこの住民たちは大抵、林業か漁業を営んでいる。かつては紀勢本線の開通によって賑わっていたが最近はめっきり寂れてしまい、今では海洋公園建設の噂が囁かれる程度だ。その町で木こりとして働く達男は、強い肉体を持ち、「山の神サン、俺の彼女じゃ」などと豪語する傍若無人な男である。彼には妻と二人の子どもが居るが、かつて関係を持った女・基視子と再会して情事を重ねるようになる。しかし基視子もまた、達男を慕うその裏で、土地ブローカーの男や、達男に憧れ付き従う若者・良太と関係を持つのだった。ある日達男は、激しい嵐の中にひとり取り残され、そこで山の神の声を感じる。彼は「何か」を悟り、やがて起きる恐ろしい凶行へと突き進んでいくのであった。 小説家・中上健次が、1980年に三重県で起きた熊野一族7人殺害事件をモチーフにして脚本を書き、 柳町光男が監督した作品。本作のタイトルになっている「火まつり」は、「お燈祭り」とも呼ばれ、中上の故郷である和歌山県新宮市の神倉神社で毎年2月6日に行われる例祭である。祭りの様子は本編の後半に見ることができ、「上り子(のぼりこ)」と呼ばれる白装束の男たちが松明を手に持って神社の石段を駆け下りていく姿が描かれている。中上の小説を原作とする映画としては、『青春の殺人者』(長谷川和彦監督、1976年、原作『蛇淫』)や『19歳の地図』(柳町光男監督、1979年)、若松孝二監督の遺作となった『千年の愉楽』(2012年)が挙げられるが、本作は当初から映画化を前提として中上がオリジナル脚本を書き上げている。その脚本は『火の文学』(角川書店、1985年)で読むことができ、同書には「お燈まつり」のドキュメントやインタビューなども収録されている。また中上は同時並行的に、映画のノベライゼーションとして同名短編を「文学界」に連載、後に単行本を刊行している(文藝春秋、1987年。後に『中上健次全集(8)』(集英社、1996年)や『熊野集・火まつり―中上健次選集(9)』(小学館、1999年)にも収録)。
Staff
柳町 光男/Mitsuo Yanagimachi 監督/Director
清水 一夫/Kazuo Shimizu 製作/Producer
中上 健次/Kenji Nakagami 原作/Original Work
成田 祐介/Yusuke Narita 助監督/Assistant Director
田村 正毅/Masaki Tamura 撮影/Cinematography
武満 徹/Toru Takemitsu 音楽/Music
木村 威夫/Takeo Kimura 美術/Art Direction
Cast
北大路 欣也/Kinya Kitaoji 出演/CAST
太地 喜和子/Kiwako Taichi 出演/CAST
森下 愛子/Aiko Morishita 出演/CAST
安岡 力也/Rikiya Yasuoka 出演/CAST
宮下 順子/Junko Miyashita 出演/CAST
三木 のり平/Norihei Miki 出演/CAST
菅井 きん/Kin Sugai 出演/CAST
中本 良太/Ryota Nakamoto 出演/CAST
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