韓国の伝統芸能であるパンソリの旅芸人一家がたどる流浪生活と歌で繋がれた絆を『祝祭』のイム・グォンテク監督が詩情豊かに描く。 パンソリの歌い手ユボンとその養子である少年トンホと少女ソンファ。旅芸人として放浪しながら芸の道を極めようとするユボンのもと、子供たちは日々厳しい修行を積んでいた。やがて成長した二人は名コンビとなるが次第にパンソリは時代から疎外されはじめる。トンホは厳しい訓練に耐えかねて逃げ出し、残されたソンファはショックから衰弱しきって歌えなくなる。ソンファを失うことを恐れたユボンは飲み過ぎると目が見えなくなるという薬草を薬だと偽ってソンファに飲ませる。やがてソンファは光を失い、再び歌と生きる決意をする。時代が変り、父親になったトンホはソンファの消息を探していた。そしてついに出張先の町で彼女の消息を知ったトンホはソンファの居る宿を訪ねる･･･。 美しい韓国の四季の自然と呼応するパンソリの響きは力強くどこか哀しげで心に強い印象を残す。 1993年上海国際映画祭ブランプリほか多数の賞を受賞。

作品キーワード：旅，別離，絆