フレデリック・ワイズマン監督はアラバマ聾盲学校を舞台に「Deaf and Blind」シリーズの4部作（『視覚障害』『聴覚障害』『多重障害』『適応と仕事』）を制作した。本作はその第一作であり、アラバマ盲学校に通う学生たちの日々を捉えたドキュメンタリーである。映画の冒頭、カーレース場の様子が映し出され、盲学校の学生ブラスバンドが観衆の前でロッキーのテーマを演奏する。次に車が行き交う町の様子、踏切を通過する列車が映し出され、社会がいかに視覚に頼る構造であるかということを示唆する。学校の中では視覚障害を抱えた小さな子供たちが、日々の経験を通してどこに階段があり、それは何段なのかといったことを学ぶ。教師は、生徒が手を触れた物について「これは何？」「どんな物なの？」「何でできているの？」と絶え間なく問いかける。お金の数え方、電話のかけ方、食事の支度など、視覚障害者が日常生活を送れるよう自立するための大変な訓練が丹念に描かれていく。一転して、後半では誰の手も借りずに楽しげに踊る子供たちの姿が捉えられている。