レトリスム（文字主義）の映画制作を続けてきたモーリス・ルメートルが2000年に発表した長編映画『神への道、ある「日本的」映画』を「日仏版」として短縮した作品。ルメートル自身のパフォーマンスやインタビュー、数多くのフィルムやビデオからの引用に加え、若い作家たちの協力によって集められたフッテージが用いられている。 レトリスムとは、1945年に詩人イジドール・イズーが提唱した前衛芸術運動で、メンバーにはモーリス・ルメートルのほか、ガブリエル・ポムラン、フランソワ・デュフレーヌ、ジル・ヴォルマン、ギー・ドゥボールなどがいた。イジドール・イズーは、従来、詩の音楽性が主に母音の響きに依拠していたのに対して、全ての文字が韻律の単位であると主張、文章の解体を極限にまで押し進め、既成言語のあらゆる制約の破棄を目指した。また文学以外にも絵画やオブジェ、音楽、実験映画、ハプニング的演劇など、多岐にわたるジャンルの作品が制作された。