ロシアの小さな町に、頑固だがとても腕の良い年老いた靴屋が住んでいた。生涯を靴にささげてきた彼の名はマルチン。しかしそのマルチンも年には勝てず、徐々に仕事も思うに任せなくなっていた。更に若くして妻子を病気で失って以来“神”を信用しなくなり、今や心のよりどころも無くただ死を待ち望む日々であった。そんなある夜、神父に渡された痛んだ聖書の前で転寝をすると、彼の夢に神の声が響く。神は「明日、私があなたの家を訪ねるから窓の外を見ていなさい」と語るのである。そして翌日、マルチンは窓を一日中眺め、普段は気にもしなかった、通りを歩く人々と交流をもつことになった。結局、神は現れなかったが、交流をもった人々こそが神であったと知る。そしてマルチンは、自分が心を閉ざしていたことが過ちだと気付き、改めて生きることの喜びを得るのであった。

作品キーワード：クレイ・アニメーション，粘土アニメーション