ボローニャ大学時代は造形美術が関心の的だったが、次第に演劇にも興味を持つようになり、2、3の戯曲を発表し、同時期に地方紙に数種の短編小説を書き、ついで映画批評も書くようになった。そのころ16ミリで精神病院にカメラを据えたドキュメンタリーを制作し、これは後年の彼の内的リアリズムにつながっていく。1939年、ローマに出ると、映画雑誌「チネマ」の編集部員となる。このネオレアリズモの温床となった雑誌は後に多くの監督を輩出する。その後脚本家として映画界入りし、ロッセリーニ監督の作品の脚本に参加して認められ、マルセル・カルネ監督の「悪魔が夜来る」の撮影に立ち会った。しばらく短編制作を続け、特に「Gente del Po」は彼のネオレアリスタとしての地位を決定付けた。1950年、長編処女作「愛と殺意」を発表する。この作品は、ネオレアリズモの転換を告げる、イタリア映画の新しい息吹であった。1960年の「情事」がヒットすると彼の名は世界的になり、人々は彼のことを知的レアリズモと呼んだ。この作品と「太陽はひとりぼっち」がカンヌ審査員特別賞を、「赤い砂漠」がヴェネチア映画祭、「欲望」がカンヌ映画祭のグランプリを獲得した。
