A2
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1998年1月、オウム真理教(現アーレフ)の広報担当者・荒木浩を被写体とした出家信者たちのドキュメンタリー「A」が発表され、多くの反響を呼んだ。1999年9月、“オウムについての自分の表現は終了した”と断言していた森達也監督が、再びカメラを手に退去直前の足立区のオウム施設を訪れた。前作「A」がクランクアップした1997年以降、日本社会はまるで歯止めが外れたように急激に変質した。残虐で理解不能な犯罪が頻発し、ガイドラインや通信傍受法案、国旗国歌法案に住民基本台帳法案などの数々の法案があっさりと成立。一旦は棄却された破防法は、団体規制法(オウム新法)として復活した。高まるばかりのオウムへの憎悪を背景に、地域住民のオウムへの排斥運動は激化する。“3年前にはここまで日本社会が急速に劣悪化するとは思わなかった”ことが、再びカメラを手にした理由だった。 撮影中、オウム排斥運動に関わる住民と信者との軋轢が最も激しいとされていた地を訪ねると、不思議な共有関係が築かれていた。マスメディアを通したイメージでしか捉えていなかった信者に実際に接することで生じた住民達の戸惑いや煩悶。同時に社会と断絶したはずの信者たちも、住民の情感や不安に触れることで、再び社会と向き合い、事件についての葛藤を迫られる。オウムを通じて日本社会の歪んだ断層を暴いた「A」。そして、本作は前作を上回る深度で切り込みながら、信者たちの内側にある矛盾、さらには社会の側に生まれ始めた“受容への萌芽”を描き出す。
作品キーワード:宗教
Staff
森 達也/Tatsuya Mori 撮影/Cinematography
森 達也/Tatsuya Mori 監督/Director
森 達也/Tatsuya Mori 編集/Film Editing
安岡 卓治/Takaharu Yasuoka 編集/Film Editing
安岡 卓治/Takaharu Yasuoka 撮影/Cinematography
安岡 卓治/Takaharu Yasuoka 製作/Producer
小堀 陽太/Yota Kobori 編集/Film Editing(助手)
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