当時24歳だったバーベット・シュローダーが企画したオムニバス映画『パリところどころ』（原題『…の見たパリ』）。シュローダーが立ち上げた製作会社レ・フィルム・デュ・ロザンジュ（菱形映画）の実質的な第一作で、撮影は16ミリで行われ、35ミリにブローアップされた。ヌーヴェル・ヴァーグを代表する6人の監督が参加し、それぞれパリの特色ある場所を舞台に、様々な人間模様を描いている。 第五話の舞台はパリの外縁の街。婚約者と愛人への手紙を、封筒を取り違えて出してしまった女性の恋愛悲喜劇。ジャン・ジロドゥの「ある朝のコント集」（1952年刊）の中の「勘違い」から着想を得て、ゴダールが監督した。